胃の悪性リンパ腫の方です。
組織を採取するも悪性細胞は認めませんでしたが、内視鏡的に疑わしく1か月後、3か月後に内視鏡を繰り返し診断しました。
心窩部痛と黒色便を主訴に当院受診。
黒色便を認めたので翌日絶食で胃カメラを施行しました。


胃底部前壁に潰瘍を認めました。
潰瘍の辺縁は平滑ですが、粘膜下腫瘍様隆起を疑います。リンパ腫で
潰瘍の辺縁(境界部)から組織を採取しましたが正常細胞と壊死細胞をみとめるのみでした。
胃薬(PPI)を内服して1か月後に内視鏡を施行しました。
潰瘍病変は正常上皮で覆われていますが、粘膜下腫瘍様の隆起は残存します。
胃薬を終了として3か月後に内視鏡を施行しました。
粘膜下腫瘍様の隆起は増大しています。また凸凹が目立つ顆粒状所見や石畳のような敷石状所見のびらんを認めます。
びらんからの組織採取でびまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(DLBCL)と診断しました。
藤田医科大学病院血液内科で抗がん剤治療を施行していただきました。
治療開始後一年の内視鏡です。
病変は瘢痕化しており、緩解と診断されています。
その後数年になりますが再発は認めておりません。
胃潰瘍の診断した際には、内視鏡所見に応じて適切な部位からの組織採取と経過観察が必要になります。
適切なトレーニングをした消化器内科医師による内視鏡をお勧めします。
また、内視鏡の専門医は容易に所得できますので、内視鏡の専門医であることはもちろん必須です。