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早期食道癌

胃カメラの検査では、食道と十二指腸も詳細に検査します。
また観察可能範囲で咽頭部も観察させていただきます。

早期の食道癌は適切にトレーニングされた消化器内科医でないと見逃すことが多い病変です。
当院で診断した早期食道癌の画像を示します。


中部食道に12時から3時の位置に発赤調の病変を認めます。
トレーニングが十分でない医師ではこういった病変は見逃しますが、これは見逃してはいけない病変です。


病変はこのように指摘できます。


NBI観察ではより病変の存在が認識できます。
早期食道癌で無暗に組織を採取すると、そのキズによって深達度診断に影響がでることや内視鏡治療の適応となったさいに治療を困難にすることがあります。
粘膜病変を考えるならば、微小な組織採取もしくは組織検査なしで高次医療機関に紹介するのが望ましいとされます。

この患者様に関しては、微小な組織を採取して名古屋市立大学病院に紹介させていただきました。
その後内視鏡にてESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)をしていただきました。

切除の結果は6×11mmの大きさで粘膜筋板まで浸潤を認めました。(pT1-MM)
食道癌では粘膜の浅い部分にとどまる病変(m1もしくは m2)であれば内視鏡的に治癒切除と判断されます。
粘膜筋板までの浸潤をみとめるのでm3と診断され、再発リスクは1.5%~5%と報告によりばらつきがあります。
しっかり患者様と相談した結果より、治療は終了として慎重に経過観察をすることになりました。
術後数年たちますが現在再発の兆候はございません。

内視鏡に関しては負担なく楽に施行することも非常に大切ですが、このように適切に早期病変を見つけることも必須です。
徳重おかもとクリニックでは確かな診断力をもって診療しているので安心して受診してください。

国立がんセンター
https://www.ncc.go.jp/jp/information/knowledge/esophageal/001/index.html
日本食道学会
https://www.esophagus.jp/public/cancer/06_endoscopic_treatment.html